「クリエイティブ・コミュニティシップ」講座開催

国際NGO主催のフォーラムにて、「コミュニティシップ」をテーマに講演を行いました。

私が所属する国際NGO世界連邦運動(下記:補足orリンク)は自分がライフワークとして取り組む活動です。NGOが主催するフォーラム(勉強会)は2009年からおよそ現在80回にわたり続いています。この7年間の活動を総括する意味において、また今後、5年間の活動の展開を見据えた新しい社会創造(コミュニティピース)に向けた総括として、自分自身の思い通りにならない経験を含め、身をもって感じたことをまとめた内容をお話しさせて頂きました。

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(以下、クリエイティブ・コミュニティシップの講演語録より)

個(人、物、金)が分散・拡張されながら、全体(社会、生態系、生命)が崩壊していく時代においての「問題の本質」とはいったい何でしょうか?

1.分析的思考から創造的思考へのシフト。では、【創造的思考】とはどのようなものでしょう?

創造的思考とは「変化」を促す力。
自分自身の持つ古い常識や固定観念に対する「創造的破壊」をおこし、内なる否定力を通じて「パターン化した思考」を終わらせていきます。自分を省みて「気づき」、「自覚」を深めながら「意識の変容」を促す。社会を変えるのではなく、自分の「意識の変容」を通じて、社会との「新しい関係性」を構築していきます。

創造性の一面である「受容性」。
受け入れて、取り込むということは、「自分事化」すること。矛盾やジレンマを受け入れるとは、異質で不完全なもの、思い通りにならないこと、相容れないものを、排除しないこと、また逃げないこと。それらを「咀嚼」し、その過程の中で深く自分の内側を見つめ、湧きあがる「感情(怒りや恐怖など)」と向き合いながら、ゆっくりと意識の変容を促していきます。

創造性を経験するにあたり沸き上がる「恐怖」。
恐怖とは、自分が創り出している「影」のことです。影とは感情の根元にある「本能」や「想念」のようなものです。それは今まで自分が向き会わなかったことや、無意識的に抑圧されている心の癖やある一方の心の側面であり、人はそこから往々にして「逃げて」しまいます。選択の「自由度」が極めて高い社会構造がそれらを促し、また解釈も「自己都合」ですから、そのパターンに陥りやすい。人や場、手法(外側)だけを取り替え続けてみても、古い思考の枠組みに囚われたままでいます。

創造性における「変容」。
意識の変容とは、今までにない意識に「生まれ変わる」ことです。意識が変容する過程では「深い体験」を通じた「破壊と再生」が起こります。深い体験とは、自分の持つ「意味と文脈を越える経験」であり、ジレンマによる「葛藤(感情や思い)」に苦しみ、心が引き裂かれるような状態(ねじれ)が起こります。この過程においては「孤独」になることが重要です。この過程で与えられる「深い気づき」こそが、これからの「新しい展望(道)」、「次の方向性」となりうるものであり、むやみに問題を解決しようとせず、「十二分に体験し、その意味を感じ取る」(苦しい気持ちが変容していく過程での気づき)が極めて重要です。

創造プロセスにおける「混沌」。
不確実な状況を受け入れることおきる「葛藤」(困難)の事。困難に向き合い、最善を尽くしてもときに間違い、苦しい状況がおきます。この本質は困難を通じて「真摯な態度」を取り戻していくことであり、またしっかりとやるべきことを果たしてゆくために必要な、日々の慣れや意識の停滞の中にくる「きづき」(あきらめない心)です。自分の人生を「より開かれた」ものにしていくためには、「葛藤を受け入れる心(耐性)」が必要。

創造における「相互作用」と「動的平衡」。
相互作用とは、「関係性」の中に変化を生み出していくこと。相互作用を通じて、新しい関係性(秩序や調和)を構築するためには、矛盾やジレンマを結びつけていくための「状態(動的平衡)」が必要。常に一方に偏らず、また過大でも過小でもなく、常に両極を平衡し、その間を流動しながら物事を生成させていく。バランスをもたらすには「限度」を知ることが必要です。常に「限度」と「バランス」を見極めながら、要所要所で「決める」ことで変化(秩序)をもたらしていきます。

創造を発揮するために求められる「自己管理」。
思考や意識の管理だけでなく、「身体」の管理(食、運動、睡眠)を通じて、「心身共に健康」である状態を目指していきます。管理において努力は必要ですが、無理のない範囲で実践する。みずからの体験を通じて「限界(体の声)」聞き、その都度調整が必要。自己管理の本質は、自分の身体を大切にした上で更に、「関係性」に対して向けられるもの。向上したパフォーマンス(素直な心やストレス耐性)を家族や仕事、コミュニティや友だちに対する行為(やさしさ)として、善循環させていきます。

2.新しい【場】(コミュニティー)に求められるもの

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「新しい場」の必要性。
多様化する働き方やパートナーシップの形を担保していくための「新しい場」が求められています。新しい場の創造を通じて、従来の場(会社組織と家庭)における矛盾やジレンマを乗り越えていきます。「複雑性」(3つの場/職場・家庭・コミュニティとの相互作用)を担保し、「自覚(愛を学ぶ)」を深めるための「不確実性」を経験する場です。このコミュニティにおける「自己再生(意識変容)」を通じて、従来の共同体(働き方やパートナーシップの結びつき)に変化を与え、「新しいライフスタイル」を創造していきます。

場が目的とする「自己再生」。
自己再生とは、コミュニティに対して、自分が開かれた状態(オープンな自己)です。そのためには自分の「弱い所」「悩んでいること」(本音)を共有して、全員が「大切なこと」を言える場(共感の場)を形成します。その状態を通じて、一人ひとりが「自己再生」を促しながら、コミュニティの「心のまとまり」を生み出していきます。内なる否定力によってうまれる創造性が、オープンさ(自己再生)に繋がらなくてはなりません。そのためには「自覚」が必要です。自己再生における自覚とは、「不完全な自分」の自覚、「自分の力の限界」(主体性を発揮した上での)の自覚、「現状のライフスタイルの限界」の自覚、“一人では生きていけない”という「本当の自覚」が必要。

場のあり方としての「自律分散」。
自律的な個人がまとまりをもつことであり、個々の相互作用が全体として機能する。分散は手段であり、その目的は「全体性」を担保するための進化であり、より大きな統合へ向けた「創発的進化」に他なりません。より大きな目的やビジョンで繋がりながら変化と成長を繰り返し、「より複雑な環境へ適合」していきます。

場のあり方としての「多様性」。
多様性は社会に「進化」をもたらす源泉ですが、多様な価値がただそこにある状態(ランダム・乱雑・不完全)ではなく、一貫性を持ち「まとまり(律)」がある状態が必要。一貫性とは「限度」と「バランス」がもたらされ、個人が活かされながらも、全体性が尊重・優位されている状態。一人ひとりの「不完全さ」を補完し、自己再生を通じて、コミュニティの「心のまとまり(律)」を生み出していきます。コミュニティの本質は心のつながりであり、世界とは「心の結びつき」です。

3.【コミュニティーシップ】とは?
リーダーシップとは、主体性を発揮し、不確実な状況を切り開いていくこと。みずから決断し、物事を前に進ませていく。リーダーシップの本質は、「力」であり、まわりを巻き込みながら、問題を解決していきます。

フレンドシップには、利害で繋がっていない関係で、ヒエラルキーも一番もない。条件づけを越えて、共にいたいといえる関係。フレンドシップの本質は、「愛」であり、目の前にいる相手を思いやり、お互いに助けあいます。

コミュニティシップとは、リーダーシップとフレンドシップを統合する新しいリーダーシップです。不確実な状況を切り開いていく力、相手を思いやりお互いに助け合う愛、これらを併せ持つリーダーが「コミュニティシップ」です。

コミュニティシップを通じて、自己とコミュニティ、自己と仕事と家庭に「変容(自己再生)」を促しながら、「21世紀の平和」を考え、実践していきます。

以上。

文責:松田創

補足 or リンク

リンク:
http://www.wfmjapan.com/aboutus/aboutwfm.php#aboutwfm

補足:

「世界連邦運動」とは
世界連邦運動とは、国際連合の改革と強化を通じて世界法治共同体の実現を目指すものであり、世界各国が世界連邦政府の下、公正な世界法に基づき、世界の恒久平和と人類の福祉を築いていこうとする運動です。世界連邦は、補完性の原理に基づき、各国々の多様性を尊重しながらも、各国が主権の一部を世界連邦機構に譲渡することで世界法治共同体を建設していくことであり、それは軍事的介入や経済的制裁ではなく「法の支配」によって世界の秩序を構築していくものです。

世界連邦運動の歴史と現在
1945年、核兵器を使用した戦争を二度と繰り返してはならないという科学者、文化人の提起から世界連邦運動が胎動しました。世界連邦の提唱者であるアインシュタイン博士は、原子力の国際管理を強く主張し、そのためには国際連合の機構および機能を改め、これによって原子力をコントロールする以外になく、また組織的に一切の戦争の主要原因を縮小し、排除することを始めなければならないとしました。原爆投下の翌年、ルクセンブルグで国際的な運動組織が結成され、「世界連邦政府のための世界運動」という名称のもと、本部をジュネーブに置き、翌年の1947年には「モントルー宣言」を発布。賛同者には、ノーベル賞を受賞したアインシュタイン博士を筆頭に、シュバイッツァー博士やバートランド・ラッセル博士、そしてパール東京裁判判事など、そして日本からは日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士や憲政の父と称される尾崎行雄といった蒼々たるメンバーがこの運動に参画しました。

冷戦時代においては、世界連邦運動は厳しい状況にさらされたものの、ベルリンの壁崩壊、冷戦の終結、そしてEC(欧州共同体) の設立により国際状況は一変する中で、1995年には世界中の2000以上のNGOが参加する「国際刑事裁判所を求めるNGO連合(CICC)」が世界連邦運動のイニシアティブによって結成され、2002年の「国際刑事裁判所(ICC)」設立条約・ローマ規程の発効に大きく寄与しました。また、1999年にはハーグ平和アピール市民会議「ハーグ・アピール・アジェンダ10基本原則」の採択にリーダシップを発揮しました。世界連邦運動協会が「世界法治共同体の実現」のために現在もっとも力を入れて取り組んでいるのが「国際連帯税」の導入と、国連の民主化・透明化を促進するための「国連議員総会」設立であり、その実現向けて精力的な活動を続けています。本部事務局はニューヨークにあり、24カ国に支部を持つ国際NGOであり、国連からも認定されているNGOです。

日本における世界連邦運動の歴史と現在
日本国内では、終戦の年1945年、憲政の父・尾崎行雄が国会に「世界連邦建設に関する決議案」を提出しますが、決議は廃案となりました。その後、1948年、ジュネーブの国際連盟で日本の常任代表を務めていた稲垣守克の働きかけにより、尾崎行雄を代表、協同組合の父・賀川豊彦を副代表という布陣で、日本における世界連邦運動が発動することになりました。1955年には世界連邦運動協会の理事長であった下中弥三郎(平凡社社長)のイニシアティブにより「世界平和アピール七人委員会」が発足され、1975年には湯川秀樹と朝永振一郎による「核抑止を超えて」が宣言されます。第5代目の世界の世界連邦運動の会長となった湯川秀樹は、1981年、「核兵器を廃絶し、平和な世界を目指す世界連邦構想は、決して夢ではありません。人類が本当に平和を願い、幸せに生きることを望むかぎり、道は必ず開けると思います」という言葉を残してこの世を去りますが、その意思は妻スミに受け継がれ、平和の為の市民活動へと発展していきます。

1997年には日本国政府に国際刑事裁判所の加盟を求める『JNICC』が設立され、世界連邦運動協会がその事務局を引き受け、2007年に日本国政府がICC条約へ加盟を果たす上で大きな貢献を果たします。また、2005年には“世界連邦実現への道の探究”という文言の入った「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」が衆議院で採択され、外務省に世界連邦の窓口が設置されました。それ以降、毎年この窓口を通じて政府に対する政策提言を世界連邦運動協会は行っています。また、2009年には「NGO国際連帯税を推進する市民の会(アシスト)」が設立され、世界連邦運動協会は共同事務局を務めているほか、日豪元外相による核不拡散・軍縮に関する国際委員会(ICNND)日本NGO連絡会にも参加するなど、精力的に平和の為の活動を行っています。

日本国内には、世界連邦運動協会(市民の集まり)の他に、世界連邦日本国会委員会(国会議員の集まり)、世界連邦宣言自治体全国協議会(各都道府県の知事および市長の集まり)、世界連邦日本宗教委員会(各宗教の代表者の集まり)といった関連団体があり、4つの団体を束ねる組織として世界連邦日本推進協議会があります。