思考パターンのクセを塗り替えよ!新たな人財育成プログラム

2015年11月、ピースワークラボのメンバーを中心に企業のリーダー向け研修「ソーシャルイノベーション・クリエイティブシンキング」を体験しました。普段は、ファシリテーションをしたり、企画提供する側のメンバーです。どんな研修だったのか。怒涛のように過ぎた4か月を振り返ります。

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海外から輸入されたものが大半を占める研修プログラムの世界で「ソーシャルイノベーション・クリエイティブシンキングプログラム」は、100%日本オリジナルの研修スキームです。ピースワークラボのリーダーの松田氏が『人の心しか、世の中を変えることはできない』という信念のもと、人財育成プログラムを仲間とともに作りあげ、こつこつ複数の企業に導入しています。変化の激しいマーケット事例や政治の動きをコンテンツに更新し、プログラムは濃密に進化し続けています。

一言で表し切れない!?身体に刻まれる記憶は研修後に生かされる

この研修プログラムは、私が働いている凸版印刷で導入されています。

企業目線で、この研修をで紹介すると。

「社会的課題の解決と経済的価値を両立する“新規事業”の創出。それらを実現するための創造的思考“クリエイティブシンキング”の能力開発。そのふたつを講義とワークを通じて学び、最終的にプロジェクト企画をまとめて発表する」

体験した自分が表現すると別の見方になります。

「普段、味わうことのできない衝突や葛藤を通じて、自分の思考パターンのクセを知る。それらが自分の意識の問題であったことを目の当たりにする。その体験を通じて、他者との関係性、物事を前にすすめることの本質的な気づき、自己変容という心の動きや身体の使い方を体験できる」

だいぶ違いますね。

この研修プログラムを通じて、私は、これまでの自分の頭と心の使い方、それに伴う行動パターンに創造的な破壊を起こされました。

同時に、『人生の知恵の杖』みたいなものを得て、かけがいのない人と心の通わせ方に変化がもたらされたように思います。職場や家庭に帰ってなお、杖と共に歩み、進化していくのは、意識が変わったからこそ、行動が変わるからだと思います。

早速、プログラムを通じて、どのようにメンバー同士が創発を繰り返し、意識の変容を成し遂げたか。私が参加したチームから紐解きます。

森の民はアウフヘーベンできるか?!前半編

参加メンバーは、当初から3つのチームに分かれてスタートしました。
私は、5人のメンバー(池田亮さん、大月さん、山田さん、牧野さん、私)とともにワークをしました。偶然にも、森の民のように平和を好み、共感しやすいタイプが集まりました。チーム名は「森へ―ベン」と名付けました。ちょっと変わった名前ですが、森の民であるが故の逆効果(共感が強くて、新しい風を吹かしにくい)を含んでいて、1次元上昇し、「アウフヘーベン=矛盾するものを更に高い段階で生かし、解決すること」する思いを込めました。名づけ親は、大月さんです。上手いですよね。

↑ほんの一部。全部読んだかって聞きますか?(もちろん)

↑研修の課題本の一部。全部読んだかって聞きたくなる量です

前半の2か月は、社会変化を生み出している概念を構造化するために、5つのテーマごとにワークショップとケーススタディ講座が行われます。そこで、出される課題図書は、幅広い視点を促してくれます。量は半端ありませんが、グローバルに世の中を俯瞰し、ビジネスの新たな可能性を考えさせられます。

中でも、一番好きな本は、『未来を変えるためにほんとうに必要なこと』アダム・カヘン著。関係性や配慮といった「愛」だけでなく、物事を推し進める「力」をバランスよく使って、動的平衡することについて書かれています。何度読んでも発見があります。チームビルディングでも、パートナーシップでも、人との関係において同じことが言えると思います。

うらうらとした低空飛行から抜け出せない!後半編

ochan nawyamasii

12月末に後半は、プロジェクト企画ワークに入りました。それぞれ考えた企画を持ち寄り、チームで一つの企画に仕上げていく期間。「森へ―ベン」は、共感領域にとどまりやすく、ズバッと意見をして前にすすめるファシリテートが苦手でした。打ち合わせをしても、半歩進んだのか、進んでいないのか。対立意見をどちらかに決めることもせず、次第に打ち合わせをしても創発が起こらない日々が続きました。

自身も、仕事の上では進められるのに、フラットな関係の中でのコミュニケーションやリードしてくれるメンバーとの関係式に悩みました。全体の関係式を壊せないけど、違和感がある。あえて口に出してみる。一人ひとりに何を影響させるのか分からず、少しでも進化のため、自身の心の使い方を変えるために。しかし違和感はメンバーの怒りを掻き立て、いろんな心の葛藤を生みました。

メンバーのかかえている状況はいろいろでした。
●転職後、毎日午前様で休日も仕事・仕事・仕事・・・
●会社経営者で重要な会議が続き、プライベートでは第2子が生まれる直前
●仕事への責任に邁進し、家庭では初産を迎えるパートナーがいる
●チームを引っ張るものの、ジレンマで自身のモチベーションが下がる
●中間管理職として忙殺され、国の機関に出向し、2重の仕事と体調不良

みな、心と身体が疲れきり、都市という時間の中に埋もれてました。

プロジェクトの企画は自分たちの殻を抜け出せず、低空飛行が続きました。

創発ってなんだろう?

↑創発は共感とは違う。それが分からない。

↑創発は共感とは違う。それが分からない

講義の中で「創発」という言葉を松田さんはこう表しています。

「他者との関係性の中で、自己否定を伴う気づき。自分を立脚してから、共鳴し、倍音すること」

クリエイティブシンキングでは、2つの対立軸にある矛盾構造の本質を見抜き、コンセプトを作っていくことが企画の第1歩です。「森へ―ベン」は、共感性が高く、関係性を重んじるメンバーであることは前述の通りですが、過度に相手の文脈や反応を読もうとしたことに時間を費やしすぎ、言葉を選びすぎて、打ち合わせも時間がかかってしまって、決めるということが決まらない状態に陥っていました。

松田さんのサポートにより、決めたコンセプトは、「時間資源」でした。
私たちは、企業人、家庭人としてのことをどちらも大事に思っています。ふたつの立ち位置の時間のシェア争いによって『24時間では足りなーい!!!』と思っています。よくよく考えると、時間の「重要度」と「緊急度」の固定観念が邪魔をしていて、つい目の前の「緊急度」を選択してしまう傾向があります。

人生の中での「重要度」を捉えきれないのが問題ではないか。「森へ―ベン」のミーティングに参加できない状態になるのも、なにがなんでも参加する、という優先度が置かれていないからではないか。メンバーそれぞれに当てはまる“時間のジレンマ”に焦点をあてることにしました。

「時間を捉えるレンズ」そのものの進化を目指し、時間への視点(解像度)を高めること。時間軸を長くとることを企画のテーマに据えたのは、発表の2週間前でした。自分ごとになり、それからは、濃密に時間が高速で回り、一体になって進められたと思います。

共感できるジレンマを言葉化して一回決めること。ハレーション、人間関係のジレンマや面倒臭さ、断絶の恐怖心、ワーク時間も引き受けること。

通常は主体性を発揮した人がリスクを引き受けて、チームはそれに依存するという傾向もありますが、今回はそういう関係性ではなかったからこそ葛藤したことに学びがありました。行きつ戻りつ、ジレンマを抱えている期間は、心も身体もきつかったけれども、信頼、信用は主体性の発揮の上で醸成させていくしかないし、決して関係性をあきらめないことが大事なことだったと振り返って思います。

その後、メンバーのひとりである山田家には、無事に息子さんが誕生しました。誕生するまでの直前、一緒に生みの苦しみを感じたお父さんは、毎年「森へ―ベン」のメンバーとの葛藤の日々も思い出すことでしょう。お父さんはあなたを迎えるために、幸せな時間の選択をしました。

研修を経て、心の使い方も、時間という有限の使い方も、ずいぶん変わりました。なんというか、人生を生きていく覚悟みたいなものが一段深まった研修でした。
チームメンバーも、他のチームのメンバーも、松田さんにも皆に感謝します。ありがとうございました。私は、他チームの藤代健介さんに最後、“ひと押し”してもらったりしました。それぞれが、“ひと押し”も“ひとえぐり”も繰り返しながら、今いる自分をお互いに進化させられる関係ができたことが一番の財産と思います。

これからも、それぞれメンバーの進化が恩返しです。また引き続き。(文責:網野香奈江)

↑発表会を終えてこのいい顔。やり切った後のお酒は最高です。

↑発表会を終えてこのいい顔。やり切った後のお酒は最高です。