「コミュニティの持続可能性」を、ロジスティクスの視点から考える ①

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はて、困りました。。。

ピースワークラボのロジスティクス(運営面)チームを担当している立場として
「コミュニティの持続可能性」というお題で記事を書くことになったのですが、

コミュニティにも色々なパターンがあるし、
そもそも「持続可能性ってなんだ?」という点も、
改めて考えると難しい・・・。

なので、もう少し簡単に、
「ピースワークラボがよい状態で続いていくためには、何が必要か?」
という問いにしてみます。
これなら考えやすいかもしれない。

そしてまずは、考えるきっかけとして一番身近な
自分自身の感覚から。

少なくとも、自分はピースワークラボに一年間参加してみて「よいコミュニティだなぁ」という感覚があります。
なぜそう感じるのか。

メンバー間の個人差はあると思いますが、
自分の場合は、

・メンバー同士がオープンで、ギスギスしたり見栄を張ったりしていない。
・一つ一つの活動に、「やらされ感」があまりない。むしろ常に「自分にできることは他に何かないかな?」と思える。
・「何か困っても相談できる仲間がいる」という安心感がある。
・トキワビルに行くと、ちょっとホッとする。
・他のメンバーと会うと嬉しい。
・うまくいかないことやモヤモヤする状態も含めて、ラボの活動を通じて起こる事から、新しい学びがある。小難しく言えば、「仕事と家庭とコミュニティのバランス」や、世の中の出来事、平和といったテーマの解像度が、少しずつ上がっている気がする。

あたりでしょうか。
こういった感覚を一人ひとりが常に持てていることが、

「持続可能である ≒ 良い状態で続いていく」

と定義してみた上で、

ピースワークラボの一年を
「ヒト」「モノ」「お金」「情報」といった経営資源の観点で
振り返ってみたいと思います。

 

● 経営資源① : 「お金」

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(写真:まだまだ原始的な形でお金の流れを予測・管理しているの図)

いきなりお金の話か、という感じかもしれませんが、
ある意味、ピースワークラボの最大の特徴の一つはここなんじゃないかと。

キーワードは、「脱“サービス購入関係”」「リスクシェア」です。

≪この一年、具体的にやったこと≫
・コミュニティ立ち上げにかかった費用(敷金礼金、改装費等)は、全メンバーで均等に負担。
・毎月の参加費(2万円)は、コミュニティスペースの最低限の維持費用と、退去する場合に想定される原状復帰費用を均等に割る形で決定。
・参加費は均等割りという事を前提にしつつも、出産等のライフイベントで関わる頻度が減ったメンバーには柔軟に対応。

「脱“サービス購入関係”」

ピースワークラボの面白いところは、

コミュニティとして、「2万円の対価としてこれが得られます」ということを約束していません。約束しているとしたら、「一緒に考えていきましょう」という場と機会の提供です。

世間一般では、「買い手が支払う金額」と「売り手が提供するサービスの価値」が釣り合うように、大体のビジネスが成り立っています。
ただ、この関係性でコミュニティを運営していくと、「2万円が割に合わないな」と思えば簡単にメンバーが離れていってしまう。

もちろん退会するのは自由なのですが、「ピースワーク」という抽象度の高いテーマを自分事にして深い学びを得るには、ある程度長い期間活動を継続していくことも必要になります。

そのために、短期視点での「サービス提供」という視点ではなく、一人ひとりが

『まずコミュニティ全体の維持にコミットする(費用を払う)。その上で、さらに自発して関わっていくことで、初めて学びが得られる。』

という前提で活動しています。

 

「リスクシェア」

そして、もう一つの「リスクシェア」の観点。

一般的にリスクと言うと、後ろ向きなイメージでとらえられがちですし、「できれば発生させたくないし、極力減らしていくもの」という感覚だと思います。

(厳密に言うとリスクは“振れ幅”のことなので、必ずしもネガティブな意味合いだけではないのですが、ここでは損失が発生する可能性のことを指すものとします)
しかし裏を返せば、人はリスクにさらされたときこそ、当事者意識を持って頑張れるという側面もあります。

ピースワークラボでは、一人ひとりが「どれだけ活動を自分事化して関われるか」が学びにとって重要なので、
リスクを正面からきちんと見据えて全員でシェアしていくことで、リスクも学びのチャンスにしていきたいと考えています。

例えば、「出産前後で参加頻度が下がるメンバーの参加費を減額する」ということも、コミュニティ全体としては運営資金が減るリスクと言えますが、全員でオープンに話し合った上で決定しました。

今後もコミュニティにとって様々なリスクが発生するとは思いますが、極力全員で話し合って、学びを促進するプロセスにしていきたいと考えています。

 

● 経営資源② : 「ヒト」

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(写真 : まだピースワークラボ立上げの前、どんな人に参加してもらいたいか議論するの図)

「メンバー一人ひとりの学びと成長」と「円滑な運営」を両立するためのキーワードは、
「動機のデザイン」「自発」「出番と役割」あたりなのではいかと思います。

≪この一年、具体的にやったこと≫
・メンバーがコミュニティに参加する前に、「なぜピースワークラボに参加するのか」という動機の明確化に、徹底的に時間をかけた。
・「自発を通じてでなければ、何も学べない」という意識の徹底。
・コミュニティ全体の活動をデザインしていく上で、合理と効率ではなく、一人ひとりに役割が生まれることとを重視した。

動機のデザイン

一般的によくある、コミュニティとしてうまくいかないケースは、

・参加する側が、なんとなく参加を決めている。
・誘う側も、人数を増やすこと(ひどい場合は会費を増やすこと)が目的化している。
・活動の中でノイズが多く生まれ、空中分解や形骸化してしまう。

といったもの。

コミュニティは企業と違って明確な権利義務や採用プロセスが無いことが多いので、
こういったことが起こりやすい性質を持っています。

せっかく皆が貴重な時間を割いて関わる場なので
空中分解や形骸化をさせないことが大事なのはもちろんですが、

さらに、ピースワークラボはメンバー同士の対話や相互作用を通じて
自己再生し、平和の解像度を高めていく場です。
そのためには関係性(コミュニケーション)の質と量がとても大事。

そしてそのコミュニケーションの質と量を高いレベルで保つには、
「自分がなぜピースワークラボに参加しているのか」
「なぜ相手に関わっていくのか」
という動機が明確であることが必要だと考えています。

そのため、各メンバーがラボに参加することを決める前には、

「自分が何を学びたいのか」
「変えたい現状が何なのか」
「ピースワークラボが、約束できるものとできないものは何か」

そんな対話を十分に重ねた上で、

個人にとってもコミュニティにとっても
参加することに意義があると感じられた場合に参加してもらうプロセスを経ています。

 

学びのプロセスと自発

また、ピースワークラボでは、以下のような学びのプロセスを特徴としています。

「日々の活動を通じて、嫌な気持ちになったり、うまくいかなかったりする部分に焦点を当てる」

「その原因を外部に求めず、内省して自分の内側にベクトルを向ける」

「リーダーやメンバー同士のメンタリングによって、自身の固定観念に気づく」

 

そのことも、コミュニティ全体が停滞せずに動いていくことに寄与しています。
なぜならば、上記のプロセスを通じて学びを最大化するためには、

「面倒くさいことでも、自分事として引き受け、自発して関わっていく」

ことがとても大事になるからです。
(逆に自分が「楽にできること」「与えてもらった役割」をやっているだけだと、葛藤も少なく、学びが小さいまま終わってしまいがち)

もちろん、誰しも最初は「面倒くさいこと」をやるのは気が進まないものですし、
「引き受けた以上は、やらなきゃいけない」という後ろ向きの意識かもしれません。

それでも、
「自発→行動→内省→メンタリングによる学び」というプロセスを重ねていくと、
自身が変化していくことが感じられてくる。
そして、自発して行動していくことが「やらなきゃ」から「やりたい」に変わっていく。

 

まだまだ(これを書いている自分も含めて)自発による関わりが徹底できているわけではありませんが、
この自発で関わっていくスタンスが定着することで、
一人ひとりの学びと成長を最大化すると同時に、コミュニティ全体の活動が停滞せず円滑に進んでいく、
そんな理想的な状況になると考えています。

 

その他の経営資源(「モノ」「情報」)

そろそろ長くなりすぎてきたので、、、
残りの経営資源「モノ」「情報」については、第二弾の記事でお届けします。

「ルールと信頼の比率」「コミュニケーションの生まれる導線設計」
「記憶と記録の蓄積」「脱“コミュニケーションコスト”」 etc…

企業組織とは異なるコミュニティだからこその要素も多く、
実際なかなかうまくいかない事も多かったのですが、試行錯誤のプロセスも公開していこうと思います!

文責 : 池田亮平